奇跡 その３

妻の白血病疑惑から４日後

最終検査当日

免疫血液内科へ。

まずは、問診から。

その時点で、先生が、

「多分、違うと思うよ」

と言った。

念のために行った血液検査。

問題となっていた白血球の数は、

正常値に戻っていた。

結局のところ、ウイルス性の病気で、

腹部の痛みも、筋肉あたりに菌が入りこんでいたんだろう、

体力の低下で、一時的に白血球が低下していたんだろう、

という見解に終わった。

実は、この３日間で、

妻の熱は下がり、腹部の痛みは和らぎ、

食欲が少しずつ戻り、顔色も良くなり、

体調は、以前よりもマシになっていた。

「白血病」なんて、思い過ごしだった、

と言ってしまえば、それまでだけど、

それはあくまで結果論であって、

僕は、「奇跡」が起きたんだと思っている。

これは、すごいことが起きたんだと。

僕が、すごいことを起こしたんだと。

妻の白血病疑惑からの数日間。

世界で一番大切な人を失うかもしれない、

と思わされた数日間。

祈りにも近い、自分と向き合った数日間。

僕はこの経験で、

現実が変わるというのは、こういうことなんだ、

と実感した。

現実が切り替わる瞬間。

家族全員が、

これまでと違う世界にいるような感覚。

価値観の変化。

そして、

「奇跡」の起こし方、

すなわち、

「現実」を変える方法が、

すご〜く深いところで、

本当に分かった。

…ような気がする。